労働安全コンサルタントは、厚生労働大臣の指定登録機関での登録を受け、事業場における労働安全又は労働衛生の水準の向上を図るため、事業者からの依頼により事業場の診断や、これに基づく指導を業として行う専門家です。
近年の労働環境改善の動きとともに特に注目度の高い資格ですが取得難易度が驚くほど高いことで有名です。
労働安全コンサルタントは以下の労働安全衛生法第81条にあるように取得後は多くの報酬が期待できる資格です。
第81条・・・労働安全コンサルタントは、労働安全コンサルタントの名称を用いて、他人の求めに応じ報酬を得て、労働者の安全の水準の向上を図るため、事業場の安全についての診断及びこれに基づく指導を行なうことを業とする。
労働安全コンサルタントは事業場の診断、指導を行うことから幅広い知識と経験が求められます。
上辺だけの対策では、取得までは難しいといわれています。
筆記試験と口述試験及び専門試験の傾向と対策を簡単に以下に示します。
【筆記試験】
産業安全一般(30問)と産業安全関係法令(15問)の2つに分かれています。
合わせた45問のうち6割以上で合格となります。
ただし、どちらかで4割未満のものがあると不合格です。
産業安全一般の近年の傾向は、労働災害統計の問題が難化しています。
加えて、「労働安全衛生マネジメントシステム」、「危険性又は有害性等の調査等に関する指針」、「機械の包括的な安全基準に関する指針」、「機能安全による機械等に係る安全確保に関する技術上の指針」それぞれの問題が難化しています。
これらは、指針の文章を覚えることが有効ですがあまりにも量が多いため、やはり多くの問題を解いて知識をつけることです。
産業安全関係法令の近年の傾向は、若干難易度が上がっています。これは、労働災害件数の下げ止まりがあり、それらを深く調査すると法令違反が多くあるという背景があります。
特に近隣に対しても重大な影響を与える化学関連の法令の難易度は上がっています。
法令改正があったフルハーネス安全帯の問題は連続して出題されたことから、法令改正が行われた事項のチェックはしておく必要があります。
加えて、出題に「正しい(誤った)ものの組み合わせはどれか」といった形式が散見されます。
やはり、反復練習をして知識を増やすことが合格への近道です。
令和5年度 筆記試験の結果
受験者数 1,372人 合格人数 238人 合格率 17.3%
【口述試験】
近年、口述試験の質問が厳しく難化しています。
これは、事業場の診断、指導を行うため、専門外に対しての知識の確認を厳しくしていること、
第三次産業の転倒災害に対しての知識・対策ができるかの能力を確認しているなどが挙げられます。
専門に関しても重大事故が起きている事項の確認は厳しくなっています。
例えば、土木では掘削作業時の崩壊、建築では作業時の墜転落、化学では化学物質の爆発、電気では感電、機械では挟まれ巻き込まれです。
これらは、安全を主業務としている方はそれなりに答えられますが、そうでない方は質問を重ねていくたびに知識・経験が薄いことが露呈し苦しくなってきます。口述試験の対策書や模擬試験で対策を行ってください。
令和5年度の筆記合格者と最終合格者は以下となります。
機械筆記合格 21名 最終合格 16名
電気筆記合格 24名 最終合格 19名
化学筆記合格 12名 最終合格 11名
土木筆記合格 138名 最終合格 104名
建築筆記合格 43名 最終合格 41名
全体筆記合格 238名 最終合格 191名 80.3%
一見、口述試験は合格率は高く映りますが、安全の専門家で数か月勉強をしてきた方を対象としていることを考えるととても高いとは言えません。
筆記試験を通過しても口述試験で不合格となると、翌年はまた筆記試験からになります。
ぜひ、万全の対策をして合格を手にしてください。
筆記試験の一般、法令のいずれかで6割未満の科目があった受験者の口述試験合格率はとても低くなっています。
いずれかで6割未満の科目があった受験者は特に専門家の意見を聴きながら対策を進めてください。
【専門問題】
ここは、難易度は特に変化していません。
その専門の作業をする際の注意事項や対策を回答させるスタイルです。
ここでは、実際の業務経験がものをいいますので、今までの対策等を整理しておくことが重要です。
その他、専門特有の計算問題が多く出題されます。
これは、公式を覚えることとそれを活用できることに主眼を置いて勉強してください。加えて、リスクアセスメントの問題も出題されています。
事前に危険に対してアプローチできるリスクアセスメントを活用できるかどうかを確認しています。ここで、危険の見落としをしないように注意してください。
ヒューマンエラーが起こっても労働災害につながらないような対策を採用することが肝要です。
労働安全コンサルタントは専門としている講座などの業者が少ないため、受験者は十分な対策が取れないまま受験しています。
長年の蓄積がある「YS技術研究所」を活用してぜひ合格を手にしてください。